土壌分析

土壌汚染調査

土壌汚染対策法(土対法)では、使用を廃止する有害物質使用特定施設に係る工場または事業場の敷地であった土地の所有者等は、当該土地の土壌汚染の状況について、指定調査機関に調査させて、その結果を都道府県知事に報告しなければなりません。3000㎡以上の土地の形質の変更を行う場合も調査をし、報告しなければならない場合があります。
また、条例によっては土壌汚染調査の適用範囲が土壌汚染対策法より広くなっています。たとえば、東京都環境確保条例では「3000㎡以上の敷地内の土地」を改変するときにも調査の対象となっています。

日新環境調査センターは指定調査機関であり、環境計量証明事業所でもありますので、資料等調査により土壌汚染の可能性が否定できず分析が必要になった場合にも、法律で定められた方法(公定法)により、精度の高い信頼できる調査・分析を提供いたします。

ジオプローブ
ジオプローブ
柱状土壌サンプル
柱状土壌サンプル


土壌汚染対策法に基づく調査・対策フロー

土壌汚染対策法に基づく調査・対策手順は 有害物質に汚染されている可能性のある土地について、 汚染の状況を確認しつつ、段階を踏んで調査を実施します。

フェーズ1:土地利用の履歴から、有害物質による汚染の可能性や範囲を確認します。
フェーズ2:汚染の可能性のある範囲で表土の平面分布調査を実施し、基準に 従って汚染の状況を確認・判断します。
フェーズ3:汚染が確認された地点で、鉛直分布調査及び地下水調査を実施し、汚染深度と地下水の汚染状況を確認・判断します。
フェーズ4:汚染状況に応じて、各種対策を提案・実施します。

土壌汚染調査・対策フロー

分析項目

分析項目は、使用特定有害物質の種類により異なりますが、日新環境調査センターは土壌汚染対策法に基づく調査対象である下記項目の全てに対応しているほか、「油汚染対策ガイドライン」に準拠した調査も可能です。

・揮発性有機化合物(VOC):第一種特定有害物質
クロロエチレン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,3-ジクロロプロペン、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ベンゼン
・重金属等:第二種特定有害物質
カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、シアン化合物、水銀及びその化合物、アルキル水銀、セレン及びその化合物、鉛及びその化合物、砒素及びその化合物、ふっ素及びその化合物、ホウ素及びその化合物
・農薬等:第三種特定有害物質
シマジン、チウラム、チオベンカルブ、PCB、有機リン化合物

土壌の分析方法

土壌の分析方法は、根拠となる法令や分析目的により多少異なりますが、土壌汚染対策法に基づく場合は、概略下記のようになります。

土壌汚染対策法に基づく含有量試験の基準は、直接摂取によるリスクに係る基準ですので、含有量試験は土壌から体内への摂取の実態を考慮して、完全分解による全量分析までは行わず希塩酸等による抽出液を定量分析します。また、溶出量試験の基準は、地下水等の摂取によるリスクに係る基準ですので、溶出量試験は一定量の試料を水で一定時間振とう後、ろ過して分析用の検液を作成し、概ね以下のような方法により定量分析します。

(1)揮発性有機化合物(溶出量試験)
適切な溶媒に濃縮して、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)法により測定します。基準値の設定された12項目が一度に分析できます。
(2)重金属類(溶出量・含有量試験)
項目ごとに、法律で指定された方法により分析しますが、カドミウム・鉛など重金属類の多くは、ICP発光分析法により多項目同時分析が可能です。
(3)農薬類(溶出量試験)
適切な溶媒に濃縮して、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)法、ガスクロマトグラフ(GC)法、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法など項目ごとに公定法で分析します。

なお、揮発性有機化合物については、概況調査の段階では溶出量試験を実施せず、現地で土壌ガスを採取して分析することにより、汚染の有無を確認します。


GC/MS分析装置
GC/MS分析装置
【GC/MS分析法】
ガス化しやすい物質を気化し、カラムを通して物質を分離して測定する ガスクロマトグラフに物質の分子量や構造を決定できる質量分析を付加した分析機器です。物質を同定して定量も出来るため、多物質が混在した試料でも低濃度で精度の高い分析が行えます。

ICP発光分光分析装置
ICP発光分光分析装置
【ICP発光分析法】
誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma)の略で、プラズマになったアルゴン中では金属元素が元素固有の波長で発光することを利用して、その発光波長より種類を定性し、強度より定量分析を行います。試料にどのような金属元素が入っているかを定性でき、低濃度の分析に適しています。
高速液体クロマトグラフ
高速液体クロマトグラフ
【HPLC分析法】
気化しにくい物質をカラムで分離して物質ごとに定量する液体クロマトグラフの一種です。一般の液体クロマトグラフ(LC)より高圧をかけてカラムを通すため、各物質が固定相に留まる時間が短く、分離・検出能力が高いため、低濃度まで分析できます。

『土壌汚染対策法で規定された指定調査機関』とは

指定調査機関は、土壌汚染状況調査の業務を適確かつ円滑に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有し、同調査の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであることが指定条件で、土壌汚染対策法で規定された調査・分析を行える機関であることを国が保証しているということです。